2012年2月17日金曜日

30 価格戦略

「価格戦略では6つのステップを踏む事となる」

コトラー「価格は収益を生み出す唯一のマーケティング・ミックス要素である」

1 価格設定目的の明確化
2 需要の判断
3 コストの評価
4 競合他社のコストや価格、オファーの分析
5 価格設定方法の選択
6 最終価格の選択

1) 生き残りをかけているのか、継続的な収益を求めているのか、など
2)に関しては、需要に加え、価格弾力性も考慮。価格弾力性とは価格の高低で需要がどの程度左右されるのかを示すもの。価格が上がったとしても需要が低下しないのが非弾力的需要、その逆を弾力的需要と呼ぶ。

3) 製品を出す際のコストの評価はしっかりしたい
4) オファーとは、競合他社の製品が持つ顧客への価値提案である。競合製品が価値提案を持たない製品を持つのであれば、高価格を提示できる可能性がある。
5)価格設定方法は、コストにマージンを乗せたマークアップ価格設定という古典的手法から、現在の主流派となっている顧客の知覚価値からの価格設定方法である知覚価値価格設定などを含めて6つの手法がある。

6)これらを考慮して最終的な価格を設定する。

価格設定方法
1 マークアップ価格設定
製品のコストにマージンを乗せる手法。一般的に利益率を10%、20%と設定して、コストから価格を設定する

2 ターゲットリターン価格設定
目標とする投資収益率(ROI)を元にした価格設定法
ターゲットリターン価格=単位コスト+(期待収益×投下資本)/販売台数

3 知覚価値価格設定
顧客がその製品にいくら払いたいのかをリサーチし、価格を決定する方法。その価格に合わせてコストを削減していく。

4 バリュー価格設定
コスト・パフォーマンスの高い価格設定を意識的に行い、顧客ロイヤリティを高める手法。

5 現行レート価格設定
競合他社の価格を参考にして、より競争的な価格設定を実行する手法。泥沼の叩き合いになる可能性あり

6 オークション型価格設定
オークションによって価格を設定する方法。ネットオークションでおなじみ




2012年2月16日木曜日

29 ブランドエクイティ戦略

「ブランド・エクイティは、ブランドの名前やシンボルと結びついた資産と負債を総合したもの」

デービッド・アーカー「ブランド・エクイティとは、ブランドの名前やシンボルと結びついた資産と負債の総合」

1 ブランド・ロイヤリティ
ブランドへの忠誠心。ブランド・エクイティの中核をなす。

2 ブランド認知
あるブランドが、特定のカテゴリーに属している事を顧客が認識出来るという事。
「☓☓と言えば〇〇」と思われるのが望ましい。

3 知覚品質
その製品の基本的な機能はもちろん、そのブランドの持つイメージなどの「無形のフィーリングの全体」を指す。

4 ブランド連想
そのブランドに結びつくあらゆる記憶のこと。知識や感情、イメージの全て

5 他の所有権のあるブランド資産
商標や特許など、法的に所有権を認められた資産

これら5つの資産価値を高めるのがブランド・エクイティを向上させることになる。
そのために、企業はブランド・アイデンティティを明確にし、その構築と浸透に努めたい。

そのために1 製品、2 組織、3 人、4 シンボルの視点からブランドを見つめ直し、評価する。その後ブランド・アイデンティティを構築して浸透を狙う。



2012年2月15日水曜日

28 ブランド戦略

「ブランドは、名称や言葉、記号、シンボルなどの組み合わせで実現される。消費者の知覚と思い込みによって形成されるものである」

中核製品、製品の形態、付随的機能という3つのレベルからなる(→25)製品のうち、重要な地位を占めるのがブランドとなる。

1 識別機能
ブランドは他社製品との識別に用いられる。名称や言葉、記号やデザインなど。
2 保証機能
その企業の製品が一定の価値を持つものと保証する機能。買い手にしてみれば、価値を予想できるという利点があるが、その期待に応えられない場合、ブランド・イメージは傷つく。
3 想起機能
ブランド名から想起されるイメージの事をいう。

コトラー「ブランドは消費者のマインドの中に存在するもので、現実に即しながら、最終的には消費者の知覚と思い込みによって成り立つものである」



2012年2月14日火曜日

27 サービス・プロフィット・チェーンとは

「社内サービスが、顧客サービスに繋がり、顧客満足を産み出して、顧客ロイヤリティに結びつく。これをサービス・プロフィット・チェーンと呼ぶ」

→26で指摘したように、サービスの質を高めるには7Pに注目するのが大事になる。その7Pの中でも人に焦点を当てたのが「サービス・プロフィット・チェーン」である。

サービスのカギを握る人を活かすには、社内サービスの質すなわち、従業員向けサービスの質を高める必要があるとする立場。

製品を作る従業員の満足度が高まれば、顧客サービスの質も高まるはず。

サービス業には3つのマーケティング・タイプがあるとされる。
顧客むけのエクスターナル・マーケティング、従業員に対するインターナル・マーケティング、従業員と顧客とが接する際のインタラクティブ・マーケティングである。

サービス・プロフィット・チェーンでは当然のごとくインターナル・マーケティングが最初に重視されるべきという事になる。



2012年2月13日月曜日

26 サービスとは?

「無形性、不可分性、変動性、消滅性の4つの特徴があるのがサービス」

サービスは本質的に無形で、所有権をもたらさないものである。ただし、→25で述べているように、製品の一形態であり、機能価値と顧客価値とを持つ。

サービスには製品の大半を占める財(→03)とは異なる特徴がある。

コトラー「サービスは1 無形性、2 不可分性、3 変動性、4 消滅性を持つ」

サービスは購入していない人が手に取ることも、見る事もできないもの(無形性)。
提供者とサービスは切り離せない(不可分性)
提供者がどのようなサービスを行うのかで質が変化する(変動性)
サービスはすぐに消滅する(消滅性)

サービスの質を上げるには、7Pが重要となる。→21

例えば、大工さんに発注する場合、その事務所を確認したとしてそれが物的証拠になる。
また、仕事の進め方や人柄がプロセスや人となる。
4Pに加え、これら3つの要素が考慮されてサービスは形作られる。
サービスに納得すると、高い顧客ロイヤリティ→24を持つ。






2012年2月10日金曜日

25 製品の本質的意味

「製品はニーズやウォンツを満たすもの。製品には機能価値と顧客価値とがある。機能価値が顧客価値へと置き換わるように設計されるべきであろう」

「顧客価値の向上→顧客満足度の向上→顧客ロイヤリティの向上」→24 という流れの中で、最も大きな要素は製品のパワーである。
→03でも示したとおり、製品とは製造物はもちろん、財やサービス、経験、イベントなどの多様な形態を持つ。ただし常に持ち続けているのが、機能価値と顧客価値である。
機能価値には3つのレベル、顧客価値には5つのレベルがあり、これらが顧客のニーズやウォンツを満たすこととなる。

双方が共通して関わるのが、中核製品である。
製品の形態とは、ここに品質や特徴、デザイン、ブランド名、パッケージングなどを付加したもの。
ここにさらに、保証やアフターサービス、配達などの付加的機能を付けて製品が世に出る。

顧客は中核的なベネフィット(中核製品)で基本的な満足を得る(基本製品)
この中核製品が期待値どおりであれば、顧客の満足度は向上する(期待製品)
さらに期待値を上回った場合、これは膨張製品と呼ばれる。
さらに、将来的に提供できる価値を含む場合、潜在製品となる。




2012年2月9日木曜日

24 顧客ロイヤリティとは

「企業はブランドに対する忠誠心を指す。収益の柱となる存在」

顧客価値が高まると、顧客満足度も向上。その積み重ねが忠誠心となる。これを顧客ロイヤリティと呼ぶ。
W・アール・サッサー、ジェームス・L・ヘスケット「顧客ロイヤリティが5%向上するだけで、企業利益は25%から85%も増加する」と推定。

顧客ロイヤリティと顧客満足度は正の相関関係にある。

顧客ロイヤリティと顧客満足度をそれぞれ数値化し、セグメンテーション化してプロットすると、顧客の立ち位置がみえてくる。

顧客満足度と顧客ロイヤリティの双方が高い顧客はファンと位置づけられる。ファンの中でも極めて優良なファンが使徒・所有者となる。忠誠者は、顧客満足度が高い反面、ロイヤリティはそれほどでもない。

顧客満足度が低くてロイヤリティの高い顧客は傭兵とされる。顧客満足度、ロイヤリティの双方が低い顧客は敵対者になる可能性がある。敵対者は、その企業の製品やサービスに不満を持つ層である。

ネットでの情報発信の現実を考えれば、使徒・所有者はもちろん、敵対者のケアは怠れない。



2012年2月8日水曜日

23 顧客価値を分析する

「顧客にとって価値のあるものを指し、顧客の利益から顧客のコストを差し引いた物として計算する」

ここまで出てきた価値とは、顧客価値と等価である。
4Cモデルでは「製品=顧客ソリューション」である。つまりニーズに対する対応能力の高いものが顧客にとっての価値の高いものであるという事になる。ただしそこで重視されるべきは価格である。値段が高すぎてもダメ。流通経路が未整備で手に入りにくくてもダメ。その製品(ソリューション)が存在するのだとの情報も必要である。
つまり4Cが総合的に満たされて初めて、顧客は製品に価値を認めるのである。
つまりMMとは、顧客価値を積み上げていく作業なのである。

顧客価値=顧客利益(ベネフィット)ー顧客コスト

そこで顧客価値を高める方法として3つの方法がある。
1つ目が、顧客利益を高めること。2つ目が顧客コストの低減。3つ目が、顧客利益を高め、顧客コストを低減させる作業を同時に行うということ。

顧客利益とは、製品利益、サービス利益、人材(従業員)利益、イメージ利益を総合させたもの。
一方、顧客コストとは、獲得、使用、メンテナンス、所有、廃棄のそれぞれに関わるコストの総和である。


2012年2月7日火曜日

22 4Pから4Cへの遷移

「4Pが供給サイドの発想である一方、マーケティング2.0では4Pを顧客側から見た4Cが提唱された」

→01でのマーケティングの定義の一つとして「顧客にぴったりと合い、ひとりでに売れる工夫」(ドラッカー)があった。
一方、→21での4Pは、供給側の発想。
つまり、顧客にぴったりと合わせるためには、顧客の視点で4Pを見る必要がある。
顧客志向のマーケティング2.0では、4Pを4Cとして見る事を重視する。

1 製品→顧客ソリューション(Customer Solution)
2 価格→顧客コスト(Customer Cost)
3 流通チャンネル→利便性(Convenience)
4 プロモーション→コミュニケーション(Communication)

さらに一歩考えを進めると、顧客を全人的存在として捉えたマーケティングが必要となる。そこで出てくるのが、→11で出た3iモデル。
3iを上位概念として想定した上で、4Cを考える必要がある。そしてこれがマーケティング3.0時代のMMである。


2012年2月6日月曜日

パート3 マーケティング・ミックスの進展 21 マーケティング・ミックス

パート3
マーケティング・ミックスの進展
「設定したポジショニングを得るために、マーケティング・ミックスが重要。マーケティング・ミックスでは、製品、価格、流通チャネル、プロモーションの4Pが重要」

21 マーケティング・ミックス
「STPからマーケティング戦略を明らかにし、マーケティング戦術を構築する作業を指す」

オーソドックスなマーケティング・ミックス(MM)は4Pと呼ばれる。

1 製品(Product)
 テーマ3 製品には、機能、品質、ブランド、パッケージング、保証などが含まれる。これらを総合的にプランニングする。

2 価格(Price)
 対価を指す。本来は原価に利益を上乗せしてきた。現在は、顧客にとっての製品やサービスの価値を基準にした価格設定が一般的

3 流通チャンネル(Place)
 流通経路の事。単にチャンネルとも言われる。創造した価値が顧客に届くまでを「サプライ・チェーン(供給連鎖→32)とも呼ばれる。

4 プロモーション(Promotion)
 広告、パブリシティ、販売促進、などの総称。製品の存在を伝え、購買意欲を喚起させて、実際に購入させる活動のこと。

この4Pに加え、
5 物的証拠
6 プロセス
7 人
を加えることがある。サービス業ではこの観点が一般的(→26)





2012年2月3日金曜日

コラム2 ストーリー・マーケティング

事実には誰にでもアクセスが可能となった。その事実をいかに一つの文脈にし、相手にインパクトを与えられるのかがポイント。つまりストーリー構築能力が必要となる。

ストーリー・マーケティングの代表例として、BOSSの宇宙人ジョーンズが挙げられる。物語を構築することで、ブランドイメージを浸透させやすくしている。

単なる事実の提示ではなく、そこにどうストーリーを付加させるのかがポイント。

ダニエル・ピンクが提唱する6つのセンス
1 「機能」だけではなく「デザイン」
2 「議論」よりも「物語」
3 「個別」よりも「全体の調和」
4 「論理」ではなく「共感」
5 「まじめ」だけではなく「遊び心」
6 「モノ」よりも「生きがい」